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『勝負心』 渡辺 明 [本]


勝負心 (文春新書 950)

勝負心 (文春新書 950)

  • 作者: 渡辺 明
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2013/11/20
  • メディア: 新書


★★★

たまたま、なんだと思いますが、将棋界を代表する人の著作が連続して出ていたので、続けて読みました。
物事を達観し棋士同士の間でも別格視されている羽生さん、豪胆のように見えて意外と繊細な森内さん、そして論理的で現代っ子の渡辺さん。

1984年生まれの渡辺さんは、周りが殆ど先輩棋士の中お菓子を食べるタイミングも失礼にならないように気を遣っている一方で、論理的でないことには先輩の言であろうと一刀両断。
私は以前から、米長哲学には素直にうなずけなかった。なぜなら、あまりにも非論理的な内容だからである。
確かに、何となく格好良くは聞こえる。しかし、理論に基づいた考え方を好む私には、非論理的な表現に思えてならないのだ。

大事なのは、仮に偉大な先輩の言動や考え方であっても、自分が納得できなければ従う必要はない、ということだ。もし受け入れるなら、十分に納得したうえでそうすべきだ。そうでなければ、その考えや言葉も自分自身のものとはならないからである。

その上、緊張感漂う対局者との移動中の乗り物の中や、タイトル戦前日の会場でも趣味の競馬の話をしているのですから、何と扱いにくい現代っ子でしょう笑
実力も超一級なのですから、先輩棋士としてはやり辛い。。。

26歳の年齢制限ギリギリでプロになった岡崎棋士のことを尊敬するようなことを書いた直後に、「将棋の世界は20歳で将来が見えてしまう厳しい世界」とバッサリ。
自身は史上4人目の中学生プロ棋士となり、20歳で棋界の最高位と言われる「竜王」位を獲得し、そこから9連覇しています。

更に、勝負の世界では誰もが気にする、ツキや「調子」など気にしないというデジタル世代。
対局に臨むにあたって、ゲンを担ぐかわりに、次のことを心がけている。
まずは事前の研究による入念な準備。
次に、対局日に向けての体調管理。
最後に、対局場まで無事に辿り着くこと。
この3つが重要と考える。対局が始まってしまえば、勝つも負けるも、あとはすべて実力である。

一方で、準備の大切さを繰り返し述べています。
これはどんな仕事でも通用することでしょう。

どんなにメンタルが強い人でも、平常心を欠いては正しい判断ができなくなってしまう。そういう状況に陥らないためにも、「想定外」を想定しておくことが重要なのである。

電王戦でのプロ棋士達の完敗が記憶に新しいコンピュータ将棋も、敵ではなく共存可能な存在と言い切ります。
こうした次世代が新しい世の中を作っていくのでしょう(私と歳3つしか変わらないけど・・・^^;)。
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『迷いながら、強くなる』 羽生 善治 [本]


迷いながら、強くなる (単行本)

迷いながら、強くなる (単行本)

  • 作者: 羽生 善治
  • 出版社/メーカー: 三笠書房
  • 発売日: 2013/11/01
  • メディア: 単行本


★★★★

前回、物事の本質を語る上手な人のパターンとして、二通りあると述べましたが、素人にも分かる平易な言葉で本質を端的に伝えることのできる人として真っ先に思う浮かぶのは、棋士の羽生善治さん。

過去の著作でも、将棋界に留まらない人生の格言をいくつも語られていますが、本書もすごい!
特に前半部分は、松下幸之助さんの『道をひらく』並みの、1ページ1ページに含蓄のある言葉のオンパレードです。

以下、いくつか珠玉の言葉を紹介します。

一見、意味のなさそうなことでも、マイナスにしか思えないことでも、実は自分に重要な影響がある―これは、数多くの対局が教えてくれた教訓です。
今、何か問題に直面していたとして、それが解決できるかもしれないし、残念ながら解決できないかもしれません。
しかし、それを解決しようと頭を絞った経験や過程というのは、後々になっても自分を支えてくれ、やがて財産になるものだと信じています。


何かを上達したいと思った時、人は懸命に努力をするものですが、できるものとできないものがあります。
持って生まれた先天的な才能でしょうか?もちろん、それも関係しているでしょうが、もっと大きな影響を与えているのは、個々の人が持っている”モノサシ”です。ここでいう”モノサシ”とは、自分が何か習得するまでの基準タイムのこと。
人は生まれてから育っていく時に、たくさんの種類の”モノサシ“”を身につけているのです。
たとえば、歩けるようになるまでは一年、言葉がしゃべれるようになるのは二年、自転車に乗れるようになるまでは一ヶ月、裁縫がきちんとできるまでは二週間など、長いものから短いものまでたくさんあります。
そして、それを基準にして現在取り組んでいることに対して自己評価をしているのです。ホットケーキは三回で上手に焼けるとしたら、もう少し難しそうなマドレーヌは六、七回はかかるかな、などと考えているわけです。
そのような経験を重ねる中で長いモノサシをつくることは、とても有効になります。
なぜなら、長いモノサシを持っていれば、少なくともその期間は不安になることが少ないからです。


鉱脈があるかないかわからないケースはたくさんあります。
そして、それでも方針を決めなければならない場面もたくさんあります。
これは大きな”賭け”なのです。
大きく賭ければ大きく勝つかもしれないし、大きく負けるかもしれない。
小さく賭ければ小さくしか勝てないし、負けても損害は小さい。
そんな時には大部分の人は大きく賭けないものです。
当然のことですが、ほんの一部の人が大きく賭けてその中の一部の人が勝ちます。
小さく賭けた場合は小さく勝つ人もいますが、小さく負ける人のほうが多いはずです。
ですので、大勢の小さく負けた人のものが大きく賭けた一部の人への利益となっていると思います。


一般的に若い時にはチャンスに強く、ピンチに弱い、年齢を重ねるとチャンスに弱く、ピンチに強くなる傾向があるのではないでしょうか。
チャンスというのは長続きしません。その瞬間を大胆に勇敢に掴まえないとすぐに逃げてしまいます。 ”石橋を叩いて渡る”では、とてもではありませんが間に合わないのです。
若くて勢いのある時のほうがチャンスを掴まえやすいわけです。
一方でピンチの場合を迎えた時は、経験が少ないこともあって対処に困るケースもあります。チャンスを掴む時のように大胆な選択をしてしまうと、かえって傷を深めて収拾がつかなくなります。

そして、年齢を重ねてくると、ピンチの場面を迎えた時に経験に基づいてどんな状況になっているのか、そこからどんな手段で抜け出せるのかを客観的に見るようになります。
しかし、現状を客観的に見ている間にチャンスが通り過ぎることも多くなるわけです。
また、経験の記憶の性質として、チャンスの時よりもピンチの時のほうが深く刻み込まれます。どうしてもピンチを回避するほうを優先するので、チャンスが掴みにくくなる面もあるでしょう。


目隠し将棋と言って盤や駒を使わず頭の中だけで対局する時があります。
八十一マスの盤面を一度に正確に記憶しておくのは簡単なことではなく、一工夫が必要となります。
そこで、私は盤面を四分割して記憶をするようにしています。
四分割した二十マスのエリアの配置ならば、ズレて混乱することもなく記憶ができるわけです。


うまくタイミングを掴むことを″時流に乗る″と言います。
その時点で外的な環境を把握し、積極的に動いて波に乗るかのように時宜をはかるのです。その時には大胆で果敢な行動が必要となります。
今、タイミングが来ているかなと思っても、少しでも様子を見ていると時流に乗り遅れてしまうわけです。
それだけ時流の波は大きく、流れの早いものだとも思っています。
仮に乗れたとしても降りる時も必ず来ます。体勢を維持できずバランスを失ってしまうケースもありますし、波そのものが終わってしまう時もあります。
波に乗るのは難しいですが、波から降りるのも難しいものです。
逆に流れを失う時は、どんな時でしょうか。
それは、安心してしまったり、過信してしまったり、満足してしまう時などです。流れを大切にして自分でせき止めてしまえば徐々に勢いは弱まります。


私がにわか将棋ファンで、羽生さんの言動を尊敬の眼差しで見てしまうということを差し引いても、含蓄のある言葉の連続ではないかと思います。
やっぱりその道の達人は、人生の達人でもあります。
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『不格好経営―チームDeNAの挑戦』 南場 智子 [本]


不格好経営―チームDeNAの挑戦

不格好経営―チームDeNAの挑戦

  • 作者: 南場 智子
  • 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
  • 発売日: 2013/06/11
  • メディア: 単行本


★★★★

その道を極めた人の話し方には、二つのパターンがあると常々思っています。

一つは、素人にも分かる平易な言葉で本質を端的に伝えるパターン。
もう一つは、とっても能力があって偉いのに、全く偉ぶらずユーモアを交えながら、本質を語るパターン。

この本の南場 智子さんは完全に後者。
自虐ネタを織り交ぜながら、DeNAの急成長の物語を面白おかしく語ります。

例えば、アメリカのネットオークション会社の巨人、ebayとの買収交渉のシーン。
売れ、と言う。やだ、と答える。

難しい買収交渉も、一言で言えば、結局そういうこと。

他には上場前のエピソード。
東証との社長面接前のリスクを減らそうと、外出しまいと決めた週末に、洗濯物を抱えて転倒し、額をローテーブルの角に打って、のたうち回ったこと。

そういうユーモアを交えた話し手ほど、最後に真面目に締めて、そのギャップに聞き手はカッキーンとヤられることが多いのだけど、本書もそう。
DeNAと聞いて、「なんだ、出会い系のネット企業か」「どうせパッと出のゲームの会社だろ」とタカをくくっていたら、最後はその熱い想いにやられてしまうのでご注意を。

世界ナンバーワンというシンプルな目標に、斜に構えずにこだわり、日本初のチームとしててっぺんに挑戦しよう。そこに集中することがチームDeNAの使命だと思っている。


マッキンゼーという、頭の良さだけでは1,2を争うブランド企業から起業し、売上2000億、営業利益率35%を超える東証1部上場企業を創り上げた女社長と聞けば、誰もが心の敷居を高くするもの。
そこを、あえて自分の弱みや恥をさらけ出しても、会社のファンを作ろうという試みは見事に成功しています。
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『"破綻―バイオ企業・林原の真実』 林原 靖 [本]


破綻──バイオ企業・林原の真実

破綻──バイオ企業・林原の真実

  • 作者: 林原 靖
  • 出版社/メーカー: ワック
  • 発売日: 2013/07/24
  • メディア: 単行本


★★★

経営に失敗した本を好んで読みます。
成功は結果論であり、他人からしてあまり参考にならない場合がありますが、失敗した場合には失敗する必然性があり参考になると思うからです。

「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」
ノムさんが松浦静山の剣術書『剣談』から流用した名言。


「トレハロース」「インターフェロン」 の量産化に成功して市場を独占し、岡山の雄として讃えられていた林原の破綻について書いた本。
『カンブリア宮殿』で取り上げられ、独特の経営手法が記憶に残る中での破綻だったので、個人的にも印象が強いです。

全体的には、なんともお粗末な話。
林原側もお粗末、銀行側もお粗末。

林原単体では年間70億程の営業利益を出しながら、製薬会社、ホテル、資産管理会社を始めとする関係会社やメソナ活動への資金流出。
研究費や岡山駅前の不動産購入、株式投資に資金を使い過ぎてグループ売上600億に対して1300億の借入という借入過多、それに対しての過小資本。
そして金融機関が最も嫌う、粉飾決算による情報の不透明性。

一方、銀行側もそんな田舎大名にお目付役を送れず、決算の不正に過敏に反応し過ぎて事業の本体は利益計上体質にありながら倒産に追い込む。
ADR(裁判外紛争解決手続)をまとめきれず、弁護士の独断で第一回全行ミーティングの最中に会社更生法を申請。
弁済率は93%と本当に倒産の必要性があったのか疑問に残る所。

林原の破綻については、当時専務として会社を経営していた一族の林原靖が、自らを擁護しながら書いたこの本しか知らないので、真実や思惑は違った所にあるのかもしれません。
しかし、負けに不思議の負けなし。

どうもお粗末な点があったことは否めません。

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『"殺人犯はそこにいる: 隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件』 清水 潔 [本]


殺人犯はそこにいる: 隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件

殺人犯はそこにいる: 隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件

  • 作者: 清水 潔
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2013/12/18
  • メディア: 単行本


★★★

殺人犯はそこにいる。
読み進めていくと、正しく殺人犯が自分の背後にいるような恐怖を感じます。

栃木と群馬の県境で起きた、連続少女殺害事件。
3件目におきた「足利事件」で菅谷利和さんが逮捕され、事件は結末を迎えたかに思えましたが、その後も同地域で2件の少女殺害事件が発生。

不審に思った日本テレビ記者であった著者が調査を開始し、菅谷さんが冤罪であることが判明し、事件から19年後の2009年に釈放。
調査の過程で真犯人と思われる人物を特定し、警察に逮捕を進言するも、DNA型鑑定など警察の威信に関わる問題があり本格的な再捜査はされず、真犯人は今も野放しになっているのです。

警察から無視され、司法から敵視されても、少女5人が殺され、真犯人が捕まっていないという真実をしぶとく追い求める著者。
その動機の一つがあとがきで明らかになります。

殺人犯はそこにいる。
最後まで読むと、このタイトルには、著者の執念と悔しさが滲みんでいることが分かります。

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隠れたベストセラー『日本人の英語』 マーク・ピーターセン [本]

世の中には、「隠れた」ベストセラーが存在するものです。
例えば、この絵本。


だるまさんが

だるまさんが

  • 作者: かがくい ひろし
  • 出版社/メーカー: ブロンズ新社
  • 発売日: 2007/12
  • メディア: 単行本


たまたま図書館で手に取り、2歳になる息子に見せたら、大爆笑。
先週この絵本を本屋で見つけたら、100万部突破してました。

すごい!
よっぽど子供のツボを突いて、1~3歳ぐらいの子供という狭いターゲットながら、「バカ受け」したんですね。


さて、英語学習者の隠れたベストセラーといえば、コチラ。

日本人の英語 (岩波新書)

日本人の英語 (岩波新書)

  • 作者: マーク・ピーターセン
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1988/04/20
  • メディア: 新書


★★★★

私は時々業務で英文メールを書いているのですが、いつも迷うのが冠詞(a,an,the)と前置詞(on,in,atなど)の使い方。
この本では、日本人が一番間違いやすいその点を中心に、日本語にも精通しているネイティブスピーカーが解説してくれます。

例えば、「名詞にaをつけるかつけないか」でよく迷いますが、実際ネイティブスピーカーの思考プロセスでは「aに名詞をつける」のです。

具体的には、食べた物を伝えたい時に、一つの形の決まった、単位性を持つものならば、
"I ate a...a...a hamburger!”
になりますが、もし食べた物として伝えたいものが単位性もない、何の決まった形もない、材料的な物ならば、
"I ate...uh...uh...meat!"
になるのです。

これは「目からウロコ」の例文でした。
単語に飾りとして"a"がつくのではなく、「a+名詞」は意図的な意味を持つのです。

他に、"The idea is ..."など、いきなり"The"で始まる文章は、読み手はいらいらして"What!?!"と聞かずにいられない、というのも「ああ、やっぱりそうなのかー」と納得。

あと、アメリカに行っている間に英語を勉強し直していたのですが、改めて困ったのが時間に使う前置詞。
月の場合、in Julyとかinを使うのに、日が入ってくるとはon July 4thとonを使う。
午前を表す場合も、in the morningだけど、日が入ってくるとon the morning of July 4thとなる。

なので、「日が入ってくるとonを使う」と、なんとなく覚えたのですが、これも英語の論理的感覚があるようです。
inは三次元的で「中」にという感覚ですが、onは二次元で「上」にという感覚が、時間にも反映しているのです。

上の例で言うと、in Julyやin the morningは「間」を表しているのに対し、on July 4thやon the morning of July 4thは「時点」を表しているのです。

こういったネイティブが持つ英語の論理的感覚を、日本語でユーモアを交えて解説してくれるので、受験英語の丸覚えから脱却するきっかけとなります。
受験生を含む、英語学習者には必読の書ですね。

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『国際メディア情報戦』 高木 徹 [本]


国際メディア情報戦 (講談社現代新書)

国際メディア情報戦 (講談社現代新書)

  • 作者: 高木 徹
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2014/01/17
  • メディア: 新書


★★★★

著者が2002年に出版した『戦争広告代理店』は、当時社会学部でメディア論を専攻していた私にとって、非常に面白く、卒論にも大いに参考にしました。
その時は著者の肩書きを特段気にせず、ジャーナリストだと思っていたら、NHKのディレクターだったんですね。

『沸騰都市』や数多くの大型ドキュメンタリーを手がけています。
その著者が、ディレクター目線で、国際的なメガメディアに登場する情報の真の意図を探ります。

例えば、ビンラディン殺害の際に公開されたこの写真。
110501ObamaSituationRoom.jpg

オバマ大統領を始め、アメリカ政府閣僚が固唾を呑んで、ビンラディン殺害作戦現場から送られる生中継映像を「シチュエーションルーム」で見つめる様子からは、緊迫した雰囲気が伝わってきます。
問題はなぜ、この写真が選ばれ、公表されたのか。

ビンラディン殺害はアメリカ政府にとってもリスクのあることで、極限の緊張感を国民と共有し共感を得ることで、他国に乗り込んで要人を暗殺するという明らかな国際法違反を正当化しようとしたのです。
このように、何気なくメディアに登場する情報も、何かの意図が隠されていると筆者は主張します。

そこには、『戦争広告代理店』で描かれたように、ボスニア紛争におけるミロシェビッチ大統領を極悪人として仕立て上げるようメディアをコントロールした、全米5位の大手PR会社ルーダー・フィン社のジム・ハーフのようなPRのプロがアドバイスしていると、数多くの取材から確信しています。
番組や報道にメッセージを「埋め込む」ことができれば、金で買われたことが明白な広告と違い、色眼鏡を通さずに情報を消費者の心に送りこむことができるのです。

21世紀初頭のメディアスター、オバマ大統領とビンラディンを中心とした事例を取り上げるこの本は、大手PR企業が様々なテクニックを駆使して埋め込んでくる、国際情報の真意や意図を読み解くヒントになるでしょう。
『戦争広告代理店』もお薦めです。


ドキュメント 戦争広告代理店―情報操作とボスニア紛争

ドキュメント 戦争広告代理店―情報操作とボスニア紛争

  • 作者: 高木 徹
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2002/06
  • メディア: 単行本


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『格付けしあう女たち』 白河桃子 [本]


(010)格付けしあう女たち (ポプラ新書)

(010)格付けしあう女たち (ポプラ新書)

  • 作者: 白河桃子
  • 出版社/メーカー: ポプラ社
  • 発売日: 2013/11/06
  • メディア: 新書


★★

テレビで「志村動物園」をなんとなく観ていたら、寒い地方のサル山の映像が流れていて、100匹程のサルが寒さを逃れる為におしくらまんじゅうをしていました。
ギューと集まって、秩序が無さそうなそんな状態でも1~100番まで序列が決まっているそうです。
ボスは一番真ん中の方でヌクヌクしているのですが、下っ端は端っこの方で寒さに震えていました。

これで気付きました。
人が他人と自分を見比べて、優劣つけたがるのは、お猿さん時代からの本能なんだ、と。

男であれば、年齢、地位、収入で大体優劣が決まります。
一方、女性の場合はもっと複雑です。

上記の他に、「女としての幸せ」が入ってくるからだと、この本は指摘しています。

日本の近代では、女としての幸せの多くは、自分ではなく、夫や子供によって決まっていました。
そこで、近所の旦那とすぐ比較したがる夫に厳しい鬼嫁や、子供を一流大学に入れるのに必死な教育ママというのが出来てくるんですね笑

専業主婦であれば、女性は狭くて均質的な社会を生きざるを得なくなります。
そうすると、更に細かい差異によって、他人と優劣をつけたくなってしまう。

視野を広げれば、そんな比較はバカらしいことに気付きます。
アメリカに行った際、隣のマンションより部屋が10㎡広い狭いというのは、アメリカの住居と比べるとどちらにしても狭いのは一緒で、どんぐりの背比べだなーと感じましたし、後進国と比べれば、毎日お腹一杯食べて家族と安全に暮らせていることはこの上ない幸せです。

日本でも社会が多様化してきて、女性の社会進出は当たり前ですし、幸せの在り方も様々になってきました。
「人と比べるのはやめて、目の前の幸せを大切にしよう」という風潮も、経済格差が進めば進む程出てきた気がします。

それでも、初対面の人と会っては序列の探り合いをし、Facebookを見ては自分のプライベートと比べ、何事につけ人と優劣をつけたがることは人はやめないでしょう。
それは、人類が成長したエンジン(猿人)だからです。

うまっ!くもないか。。。
男目線ではあまり共感しづらい本でしたが、女性が読むと違うのかな。

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天賦の才能を『覆す力』 森内 俊之 [本]


覆す力 (小学館新書)

覆す力 (小学館新書)

  • 作者: 森内 俊之
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2014/02/03
  • メディア: 単行本


★★★

現在、将棋界最高峰のタイトルである名人と竜王の両方を有している森内さん。
永世名人でもある森内さんは、羽生さん、渡辺さんと並び、現在の将棋界を牽引するスーパースター。

しかし、本書を読んでみると意外な感じがします。
「名人に相応しくないかもしれない」「このまま一生無冠で終わるかもしれない」「羽生さんとの間には大きな差がある」という、謙虚というか、弱々しい言葉が目につきます。

しかし、それらのほとんどが、絶対的な存在である、羽生さんを意識してのもの。
同期でもある羽生さんが、史上初の7冠を始め、若い内からあまりにも優れた成績を残していたので、どうしても比較してしまいました。

オールラウンダーで天才肌の羽生さんに嫉妬や劣等感、焦りを感じたこともあったそうです。
一方で、その羽生さんの存在は、自らを高めてくれる、欠かせないものであったと言います。

自分は(羽生さんのように)決して天才ではないという森内さんは、「プロとして大成するには、才能と努力のどちらが大切か」という質問に対してこう答えます。

「私の経験で考えてみると、自分の特性を知り、受け入れることができたときに何かが動き始めたような気がする。
持って生まれた才能は変えることができないし、また、やみくもな努力も効率が悪い。自分の特徴に気づき、適切な努力をすることこそが、これまでの自分を変えるための最良の方法なのではないだろうか。」

森内さんの場合、得意の受けと熟考、この二つを基礎とし、改良を加えていくことで、良い成績を残せるようになります。

自分の得意分野に気付き、伸ばすこと。
これこそが絶対的才能を有する人を覆すのに必要な力であったと、結果を残した今、確信されているのです。
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人々の心に巣食う『国家のシロアリ』 福場 ひとみ [本]


国家のシロアリ: 復興予算流用の真相

国家のシロアリ: 復興予算流用の真相

  • 作者: 福場 ひとみ
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2013/12/12
  • メディア: 単行本


★★★★

国家のシロアリ。
痛烈なタイトルですが、本書の基になった週刊ポストのレポート記事は、「19兆円復興予算をネコババした泥棒シロアリ役人の悪行」というタイトルで、更に過激で煽り口調のものでした。

復興予算流用のハナシ。

筆者がネット上で公開されている予算書から、流用を疑い、その後の取材を基にまとめたレポートが週刊誌に掲載されてから、政治問題に発展していく前半部分は、筆者の功績が自慢されているようでいささか退屈です。
しかし、後半になるにつれ、問題の核心を突いていきます。

なぜ、流用問題は見過ごされたのか。
何者かが意図したものなのか。

流用疑惑を取材するに当たって、流用の正当性を主張する根拠として霞が関の担当者がこぞって挙げた「2011年7月29日に策定された復興基本方針」。
この「復興基本方針」は、それに先駆けて行われた有識者会議の「復興構想会議」の結論を反映したもので、その有識者会議にこそ、真実が存在しました。

こうした諮問会議は通常、事務方である官僚があらかじめ持っていきたい方向に、政府委員が御墨付きを与える場として機能することが多く、今回も例外ではありませんでした。
様々な有識者の提言によって議論が拡散する中、終了時間が迫った間際になって、予め官僚が用意しておいたまとめの文章で「増税」や「復興予算を被災地に限らず活用」することが盛り込まれ、既成事実となりました。

そこには官僚だけでなく、一般予算でシーリングを強いた一方、補正予算、特別会計で復興予算を一般事業にも活用したい官邸や、当時の野党であった自民党の思惑が働いていました。
更にメディアも、「復旧」ではなく「復興」を、全国的な防災を、と繰り返し訴えて乗っかります。

僕個人も震災当初は熱心に募金したりして、何とか被災地、被災者の力になりたいと思っていました。
しかし、時間が経つに連れ、当初の記憶が薄れていき、被災地の為に何かしなければという想いも日々薄れていきました。

そして、増税という形で全国の納税者から被災地に資金がいくのであれば、あとは国がなんとかしてくれるであろうと、その使い途には無関心でした。
ましてや、そのお金が流用されたと聞いても「ああ、いつものことだな」と感じる程度。

民主党から自民党政権に揺り戻しがおき、「国土強靭化」のキーワードがニュースや新聞を騒がしても、いつもの看板の付け替えで、また公共工事のバラマキが起こるのかと諦め半分、僕が勤める会社も間接的に恩恵がありそうという期待半分でした。
そうして本来考えるべき被災地における被災者の生活は、遠ざけられ、忘れられていきます。

この本では、そうした人々の無関心こそが、国家のシロアリを生む最大の要因かもしれない、と指摘しています。
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